飲食店で無断キャンセルで泣き寝入りする時代は終わり?お店ができる防衛策とは
飲食店を経営している人にとって、最も腹立たしい問題のひとつ、無断キャンセル。
昨年には、政府が実態を調査したレポートを出し、被害の多さに驚いた消費者も多かったようです。
今までは泣き寝入りをするしかなかったのですが、無断キャンセルをした人が逮捕されたことで、少しずつ風向きが変わる気配がしてきました。
今回は、飲食店無断キャンセルをめぐるさまざまな変化を紹介していきます。
飲食店の弱いところにつけ込んだ無断キャンセル
飲食店をやっている人であれば一度は経験・・・
いや、何度も経験しているであろう無断キャンセル。実に腹立たしいですよね。
サービス業である飲食店としては、予約が入っているならばその時間まではもちろん、
多少時間が過ぎても席を確保しておかなければなりません。
さらに予約の多くは忙しい時間に集中するもので、
無断キャンセルとなってから新たにお客さんを呼び込もうとしても、もう手遅れということがほとんどです。
西新宿でスポーツバー nano(https://www.nano-tokyo.com/) を14年経営する船山さんによれば、
「ここ3年ぐらいで無断キャンセルは急激に増えた」と言います。
「予約で満席となるのはスポーツイベントのとき。最近は少なくとも一組はキャンセルが出るようになりました。
とはいえキャンセルが確定するのは試合開始後。それまでの時間は、多いときには100人以上の予約希望のお客さんを断っているにも関わらず、
試合開始後に来るお客さんはいません。つまりキャンセルの席は空いたままということ。納得はできませんよね」(船山さん)
他のビジネスをしている人には、「キャンセルを見越して、多めに予約を取ってしまえばいい」
と言われるそうですが、それは飲食店としては実施しにくいこと。
あくまでも座って、料理を楽しみながら観戦すると言うスタイルでお店を経営しているため、
キャンセルが出なければ、利用できなくなるお客さんが出てしまいます。
万が一に備えるということが非常に難しく、いつも泣き寝入りするしかなかったそうです。
これまで飲食店がやってきた対策
「キャンセルした場合、キャンセル料をもらうようにすればいい」と考える人達もいます。
実際、消費者の多くは、「キャンセル料支払いは妥当」と考えているというアンケート結果も出ていますし、
経済産業省が出したレポート(https://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181101002/20181101002-1.pdf)でも、
「損害賠償を請求できる」としています。
しかし実際には、飲食店ではこれを回収できないのがほとんど。
なぜなら予約は携帯電話からで、着信拒否をされてしまうと連絡することもできません。
また、ネット予約の場合も同じこと。世間がキャンセル料を払ってしかるべきと言っても、実際には回収することは不可能なのです。
そこで飲食店が自らできる自衛措置として、2017年に「予約キャンセルデータベース」を立ち上げた人がいます。
これはいわゆるブラックリストにあたるもので、飲食店が無断キャンセルをした人の電話番号を登録。
飲食店間でその情報を共有するというものです。
ところが、「客の承諾なく電話番号を登録するなんてけしからん」という意見が出たために、
あまり大きな広がりにはなりませんでした。
飲食店からすると、「だったらキャンセルしなければいい」と言いたいところですが、客商売なので、なかなかそうも言えません。
2018年11月、経済産業省が発表したリポート
(https://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181101002/20181101002-1.pdf)によれば、
無断キャンセルが飲食店業界全体に与えている損害は年間約2千億円。
さらに、2日前のキャンセルも含めると1兆6000億円にものぼるそうです。
飲食店の多くは個人事業主や中小企業であることを考えると、これは笑えない実態ですよね。
無断キャンセルで逮捕者が出たという衝撃!
このように、飲食店にとって暗い現実となっていた状況に変化が生まれたのは、無断キャンセル者の逮捕劇です。
これは有楽町の居酒屋(同じ系列の複数店舗)に団体予約をし、
無断キャンセルをしたとして業務妨害で逮捕されたもの。
職業不詳の59歳の男性が容疑者ということで、何かしらの個人的な恨みがあったのかもしれません。
しかし、事情はどうあれ、無断キャンセルをすると逮捕される可能性があるということを世界に知らしめたことが重要。
よほど悪質でなければ逮捕されることはないのかもしれませんが、それでも大きな抑止力にはなると考えられています。
飲食店ができる無断キャンセル予防策
無断キャンセルを予防する策として、積極的な策を取っている飲食店もあります。
前出の船山さんは、自店の公式サイトに、クレジットカード決済ができるシステムをつけました。
前払いで支払いをすれば500円割引になるというもので、ワールドカップラグビーでは意外に利用されたそうです。
「飲食店の料金を前払いする習慣がなく、利用者はあまりいないと思いながら設置しました。
でも意外に利用者は多く、正直驚いています」(船山さん)
船山さんの店の場合、基本的に、支払い後にお客さん都合でキャンセルになった場合、返金しないとしています。
そのため、できるだけギリギリまで待ち、来られることが確定してから決済をするように伝えているとのこと。
それでも来られない人はいるようで、実際にはケースバイケースで返金対応することもあるそうです。
しかし実際には、「4人分を払ったけど、結局3人になっちゃった。
返金はいらないけど、席は他の人に使ってもらって」と言われることがほとんどだとか。
お客の意識が確実に変わっていると感じているようです。
無断キャンセル対応の保険も登場
また、 無断キャンセルが出た場合飲食店をサポートする保険も登場しています。
Gardia株式会社がはじめた「No Show保証サービス」では、無断キャンセルをされた店舗が被る被害を保証するサービスが登場しています。
https://gardia.jp/news/201903/cancel/
このようなサービスを使用することで、少しでも無断キャンセルが減り、飲食店が被る損失が減ることを願ってやみません。
まとめ
長年飲食店を悩ませてきている無断キャンセル。
逮捕者が出たことで、今後、抑止力になることが期待されています。
とはいえ店舗でも自衛策を講じなければなりません。
サービス業である以上、お客を疑ったり、不利益を与えたりすることは避けなければなりませんが、
できる範囲で何とかしたいもの。さまざまなアイデアを使うことで、状況が改善するようにしたいものですね。
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