飲食店の原状回復で知っておくべき全て【費用・範囲・種類】

経営

「原状回復」は、「ある事実がなかったとしたら本来あったであろう状態に戻すこと」をいいます。

「原状回復」は、「ある事実がなかったとしたら本来あったであろう状態に戻すこと」をいいます。

主に不動産に関して使われる用語であり、契約解消時に金銭を支払うのではなく、物件を契約締結以前の状態に戻すことなのです。

ここでは、飲食店を運営している人に、飲食店を開店・閉店したい人が契約時に注意すべき原状回復のポイントを解説します。

 

飲食店における原状回復とは?

飲食店における原状回復とは、「店舗物件で変化したものを元の状態に戻す」ということを意味します。

飲食店における原状回復とは、「店舗物件で変化したものを元の状態に戻す」ということを意味します。

飲食店では、店舗のコンセプトに従って、壁や床など店舗の内装を変更することも多いと思います。

それらを元に戻すことを原状回復というのです。

ただ、契約によっては、変更したものを元に戻すだけでなく、建物の躯体だけを残すというスケルトン工事までしないといけないこともあるので注意が必要です。

飲食店を開店する時には、原状回復の範囲を話し合うとともに、契約書に細かく記しておかなくてはなりません。

 

原状回復が必要な理由

原状回復という義務はなぜ存在しているのでしょうか?

飲食店において、原状回復が必要な理由を説明しておきます。原状回復は、物件のオーナーを守るためにできた法律です。

というのも、飲食店など事業に利用されるときには、物件の造作を変更することが多く、汚れなどが付きやすい事業です。

そんな時に原状回復の費用を大家が支払うのは大きな負担になってしまいます。

また、売上不振によって事業主が夜逃げをした時なども、原状回復を大家がしなくてはならなくなってしまいます。

このように大家さんに不利な状態にならないよう、原状回復の法律が定められているのです。

 

原状回復を定めている法律

飲食店などの事業用物件の原状回復は、法律によってどのように定められているのでしょうか?以下のような法律があります。

 

第598条

借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。

 

第621条

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)

がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。

ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

つまり、借主は飲食店の物件を現状に回復しなくてはならず、自分で設置したものは撤去するということです。

そして物件に損傷が生じた時には、賃貸借が終わったときに元の状態にしなくてはいけません。

ただ、損傷が経年変化や通常損耗であり、借主の責任でない時には、原状回復する義務はないということになるのです。

これは、平成17年の最高裁判決によって、法律家や業界関係者の間では原理原則として確定されています。

 

居住用と事業用の原状回復の違い

原状回復を考えておくのは大事なのですが、現状回復の対象は居住用物件と事業用物件で異なります。

原状回復を考えておくのは大事なのですが、現状回復の対象は居住用物件と事業用物件で異なります。

居住用と事業用では、どのように原状回復が異なるのでしょうか?

 

現状回復範囲の違い

居住用の住宅の場合、普通に暮らしていても起こる、経年変化や通常損耗分は賃貸人が負担し、賃借人の故意・過失等による劣化のみ賃借人が支払うということになっています。

これは、賃料に減価償却費や修繕費用の必要経費分が含まれているからです。

一方、飲食店などの事業用の物件の場合は、すべての損耗について賃借人が原状回復を行わなくてはなりません。

事業用物件では、通常損耗の度合いが予想しづらいことや、事業の種類によって店舗の内装や造作を変更する度合いも異なるからです。

だからこそ、飲食店の床・壁・天井・照明・塗装など、契約で対象となる部分の原状回復は、自然損耗に関わらず全て賃借人が行わなくてはなりません。

以下のポイントは、原状回復を求められることが多い部分です。

 

  • 間仕切り
  • ドアや窓
  • 壁、天井の塗装
  • 床の張り替え
  • 電気の配線
  • 照明
  • 飾り棚といった造作
  • 水回り

 

原状回復のタイミングの違い

居住用と事業用では、物件を明け渡すタイミング、原状回復のタイミングが異なります。

居住用の住居の場合には、契約終了時に明け渡し、その後に原状回復が行われます。

もし居住者の過失による回復費用が必要な場合には、明け渡し後に請求となります。

一方、事業用の場合には、契約期間内に原状回復工事を行う必要があります。

さらに明け渡しは、契約終了の2週間前には行わなくてはなりません。

 

敷金の返還時期の違い

原状回復費用や損害額が決定すれば、残りの敷金は返還されることになります。

居住用の場合、敷金は1〜2か月で返還されますが、事業用の場合には3か月〜6か月程度と長い期間が設定されることが多いです。

これは、事業用の場合には金額が大きくなりがちであることや、明け渡し後に想定しない破損が発覚することが理由です。

契約書で定められた敷金の返還時期を考慮しておきましょう。

 

飲食店の原状回復の種類

飲食店の原状回復では、契約の違いによって2種類の方式があります。  それぞれ「スケルトン方式」と「居抜き方式」と呼ばれます。

飲食店の原状回復では、契約の違いによって2種類の方式があります。

それぞれ「スケルトン方式」と「居抜き方式」と呼ばれます。以下で各方式の説明をします。

 

スケルトン方式

「スケルトン」とは、構築物の骨組みのことをいいますが、飲食店では店舗を骨組みの状態にして引き渡すという意味を指します。

つまり「スケルトン方式」は、店舗を退去するときに、内装を撤去し天井や壁紙が施されていない状態で引き渡すという方式です。

飲食店は、店舗の内装や造作を大きく変更したり、飲食用の設備を設置することが多いです。

そのような内装や設備は、他の業態では必要ないので、撤去してから引き渡すのです。

スケルトン方式の場合、入居する時にもスケルトン状態の物件ですので、原状回復でもすべてを撤去して引き渡す必要が出てくるのです。

この方式は、入退去時のどちらでも工事をしなくてはならず、費用がかかる傾向にあります。

 

居抜き方式

一方、天井や壁紙などの内装がある状態で入居するという「居抜き方式」もあります。

飲食店ではこちらの方が増えています。居抜き方式の場合には、通常の使用による汚れや時間の経過による劣化の場合は、賃借人が原状を回復しなくてよい場合もあります。

ただし、飲食店で起こりがちな、たばこによるヤニ汚れや油汚れ、損傷などは、通常使用では起こらないと考えられるので負担が必要です。

居抜き方式は、退去時にスケルトンにしなくていいのと、入居時の内装工事の負担が減るというメリットがあります。

基本、居抜きでは入居時と同じ居抜き状態で引き渡すことが多いですが、居抜き状態で入居してスケルトン状態で引き渡す契約の物件もあるので注意しましょう。

退去の時に壁や天井の貼り換えのみ、負担が必要な特約が記されていることもあります。

入居時の契約をしっかりとチェックしないと、後で思わぬ負担がかかってしまうので注意が必要です。

 

飲食店での原状回復の費用

飲食店を原状回復をするにはどれくらいの費用がかかるのか

ここまで、原状回復の意味や種類について解説してきましたが、実際に飲食店を原状回復をするにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?

 

原状回復の費用

飲食店の原状回復にかかる費用は、その飲食店の規模によって変わってきます。

大きな飲食店であればあるほど、作業が必要な面積が大きくなるので、費用が余計にかかることになります。

一般的に、小規模の店舗であれば1坪あたり1万5千円〜2万円程度、中規模の店舗で2万〜2万5千円、大規模の店舗で2万5千円〜の費用がかかります。

もちろん、飲食店内を特殊な使い方をしている場合などには、費用が多くかかってきます。

 

指定業者での原状回復

大家さんや管理会社によっては、原状回復工事を行う業者を指定していることがあります。

そういった指定業者はビルや店舗の設備に詳しいので、トラブルやミスが少ないです。

しかし、価格が想定よりも高くなってしまうこともあります。

そのような時には、指定業者以外で工事が可能かを確認し、可能であれば相見積もりを取るというのもよいでしょう。

ただし、契約に書かれている場合には指定業者を変える義務はありませんので、入居前の店舗の契約をする時に業者の指定があるか確認しておくのが重要です。

 

原状回復費用を抑える方法

原状回復工事の費用は、飲食店の種類や業態など様々な要素によって変わってきます。

飲食店を運営する時に以下のような点に気をつけることで、ハウスクリーニングや修理費用、塗装費用を抑えることができます。

 

  • 仕切りや造作物を減らす
  • 排水設備や排気設備をこまめに掃除しておく
  • 厨房設備の位置や大きさを変更しない
  • 壁材や床材の損耗が少ない
  • ヤニ汚れ、油汚れが少ない

 

飲食店ならではですが、個室をたくさん作らない、排水溝の油やごみをこまめに掃除する、店内を禁煙にしておく、店内の設備や内装を変更しない、などが原状回復費用を抑える方法といえるでしょう。

 

飲食店の原状回復の流れ

飲食店の原状回復はどのような流れで行われるか

一般的に、飲食店の原状回復はどのような流れで行われるのでしょうか?退去までの流れを紹介しておきます。

 

解約予告

飲食店を閉店して退去する場合には、解約予定日より3か月〜半年前などに、大家さんや管理会社に通知することが契約によって義務付けられています。

そして、解約を予告してから退去するまでの賃料は支払わなくてはなりません。

この予告期間を長くとっている物件もあるので注意しましょう。賃貸契約では2年や3年などの契約期間があります。

本来であれば、その期間は必ず借りなくてはならないのですが、それより短い期間で契約を解除する場合には、予告から退去までの賃料を払わなくてはなりません。

ただ、賃貸借契約の内容によっては、解約予告期間中でも居抜きで新しい賃借人が決まった場合などには、解約予告期間中の賃料が免除される場合もあります。大家さんや管理会社に確認しておきましょう。

 

原状回復工事

退去が近づいてきたら、飲食店内の原状回復工事を実施することになります。

工事は、小規模の飲食店であれば1週間など短い期間で終わりますが、中規模・大規模な飲食店では長い期間がかかります。

業者にスケジュールをしっかりと確認しておきましょう。

工事の終盤では、引き渡しを受ける前に現場の確認をしなくてはなりません。確認はオーナーや管理会社も立ち会って行うようにしましょう。

その場で確認をとっておくことで、後々のトラブルを回避することができます。

 

敷金償却

飲食店を始める前の契約時には、保証金として敷金を支払っています。事業が不振で未払いとなるリスクを避けるためにこの保証金が設けられています。

この保証金は賃料の3か月以上が必要になりますが、店舗によってその金額は異なります。

敷金は、契約終了後に償却分が差し引かれて返ってきますが、償却とは原状回復以外の劣化や損傷部分への補償のことです。

原状回復工事をこの費用で行う、という契約もあるので、契約書を確認しておきましょう。

契約期間中に賃料を滞納したことがあり、解約時も支払われていない場合には、契約終了時にこの敷金から差し引かれることになります。

 

まとめ

飲食店が店舗を退去する時に必要な、「原状回復」について解説してきました。

原状回復がなぜ必要なのか、一般住宅との違い、どういったポイントに気を付けるべきかがわかっていただけたかと思います。

飲食店の移転や閉店などでは、原状回復に大きな費用や長い期間がかかります。

あらかじめ原状回復の費用と期間を見越して予定を立てましょう。

 

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