行列ができるのに赤字経営。人気飲食店が陥りがちな罠と改善方法

経営・コンサルティング

 

 

連日行列ができると有名な飲食店が、経営的には大赤字。

家賃や食材の仕入れがやっとということがあります。

人気店なのになぜ?

よほどぜいたくな暮らしをしているのでは?

と思う方も多いと思いますが、実はそうではありません。

そこにあるのは、飲食店だからこその罠。今回は人気店ほど注意したい、赤字経営の罠についての話です。

 

売り上げは多くとも、ほとんど支払いに消えてしまう

 

 

その店はオープン2年目の寿司屋です。

ネタが分厚く、新鮮だと有名で、駅から徒歩10分以上の場所にポツンとあるにもかかわらず、

週末はもちろん、平日でも行列ができるような店舗でした。

 

ところが、その店の台所事情は火の車。女将さん曰く、

「うちの旦那は経営のセンスがない。だから店を閉めたい」とのこと。

 

実際に帳簿を見てみると、本当に利益は出ていません。

それどころか、売り上げのほとんどが支払いに消え、いわゆる給料に相当するものも十分に捻出できていない状況。

かといって、このご夫婦が散財をしているという様子は全くなく、

「こんなに人気なのに儲けが出ないなんて、飲食店は難しい」と頭を抱えている状態でした。

 

その店が人気だった当然の理由

 

 

さて、このお店が経営的にピンチだった理由は何でしょうか?

それはただ一つ。利益が出ない価格設定をしていたからでした。

ほかの店では出せない高級食材を格安で提供していたのですから、人気が出て当然です。

 

しかし、大将は修行を兼ねて寿司屋に長く勤務しており、

「前の店よりもうちの店の方が人気はある」と言います。

そして口癖は、「とにかくよいものをお得に出していれば人気店になれる」でした。

実際にそうなったわけです。

 

けれども決して、利益が出せたわけではありません。

簡単に言えば、人気店になることと、儲かる店を作れることは別の話ということに気付いていなかったのです。

 

この寿司屋の帳簿を見ると、「仕入れ値=売値」という商品があったほど高い原価を設定していました。

しかも、少しでも鮮度が落ちると躊躇なく食材を捨ててしまうので、原価はどんどん上がります。

これだけ値段とクオリティがアンバランスであれば、人気が出て当然です。

しかし、長年飲食店で修行した大将は、何故それに気づかなかったのでしょうか?

そこに飲食店ならではの罠があったのです。

 

飲食店は日銭商売だから利益が見えにくい

 


 

飲食店は日銭商売です。毎日それなりの現金収入があります。

しかし、支払いは1月分をまとめて。税金は1年分をまとめてですので、利益はしっかりと確保し、貯めておく必要があります。

 

しかし、日銭が入ってくるため、たとえ利益が出ていなくても儲かっているような気になります。

この寿司屋では、職人気質の大将が仕入れを行い、飲食店で接客のバイトをしていた女将さんが接客と帳簿を任されていました。

つまり、飲食店の経験はあっても、経営の勉強はしていなかったということです。

 

大将は、「これだけ人気なのだから、うちの店が赤字なはずはない。

あいつのやりくりが下手なんだ」と言います。

一方、女将さんは、「これだけ人気なのに赤字が続くんだから、飲食店はやめた方がいい」

と思い、二人で悩んでいたというのです。

 

これは決して、この店だけの悩み事ではありません。

実に多くの飲食店が同じような思いをし、やむなく閉店しているのです。

 

質を落とさない原価調整と日々の利益を知る工夫

 

 

 

では、どのようにしてこの大ピンチの寿司屋を立て直したのでしょうか。

ここでは、2つのことに取り組みました。


ひとつは、適正原価での商品提供です。

とはいえ、この寿司屋は最高品質のものを激安で出していくことで人気があったので、

それを極端に修正してしまうと、あっという間に客足は遠のいてしまいます。

そのため、商品ロスを最小限に抑えられるような商品構成に替え、原価が低くなる一品料理を増やしました。

 

特に、ネタを固定していた盛り合わせメニューから、

内容はその時によって変えるようにし、余剰になりがちなネタを使うようにしました。

これが食品ロスの改善に役立ちました。 

 

もうひとつが、毎日の利益の把握です。

飲食店の利益構造を説明し、固定費と言われる水道光熱費や家賃などを営業日数で割り、

1日当たりいくらの経費が発生しているかを算出してもらいました。

その上で、食材の仕入れと1日の売上を表につけ、

「今日はいくらの利益が出た」「今日は利益がいくらマイナスになった」

と仮の数字とはいえ、利益を日々把握できるようしたのです。

 

意識改革により、わずか2か月で店舗を立て直した

 

不思議なもので、月ごとの利益となると漠然とした数値になりがちですが、

日々の利益となると身近なものに考えられ敏感になります。

「今日は天気が悪くて売り上げが悪かったから、

余った食材を一品料理に使ってロスが出ないようにしよう」など、

自ら利益が出るよう改善するようになったそうです。

 

もともと人気のお店です。商品のクオリティを下げなかったこともあり、

客足は減らさずに、見事に利益を生み出す体制ができました。

しかも、一品料理を増やしたことで客単価を上げることにも成功しました。

 

大将も女将さんも、最後には、「飲食店経営はそれほど難しいものではなかったね」

と笑って話すほどになり、5年経った今でも人気の店として生き残っています。
 

まとめ


飲食店が生き残れない理由の一つに、

目の前の売り上げだけに注意が向けられ、利益に意識が行かないことがあります。

この寿司屋では、従業員が少なく、自らがすべてをこなしていたのでスピード感をもった改善ができましたが、

一般的な店舗では数ヶ月から半年ほどをかけて改善していくしかありません。その間に店が潰れる可能性もあるわけです。

 

そうならないために、日々の利益の把握に意識を向け、経営者としての意識を育てることに注目してください。
 

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